マルセイユ石けんとは

マルセイユ石けんとは

オリーブオイルを主原料とする固形石鹸です。

原料のうち72%がオリーブオイルで出来ているものとも言われていますが、現在は原料油脂のうちの72%のものを指すことが多いです。この違いは水の分量の差です。石けんの原料は、油脂・水・苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)です。鹸化のために必要な水が原料総量の30%~40%程度が現在は適切となったためにこのような定義の変化が起きました。

オリーブオイルは原料油脂として程よい洗浄力と保湿力があるのですが、泡立ちが悪く溶け崩れしやすい扱いにくいというデメリットがあります。それを補うために洗浄力の高いココナッツ油と硬さの出るパーム油を残りの28%に配合しています。

マルセイユ石けんの中での違い

別の記事に書いたことと重複してしまいますが、ひとつは製法の違いがあります。原材料を混ぜ合わせる反応熱のみで鹸化をする方法をコールドプロセスと言います。多くの場合は、釜炊き法と言う加熱をして鹸化を早め生産時間が一定になるように管理できる方法で作られています。コールドプロセスのほうが手間と時間がかかり管理も難しいため値段は高くなっています。

鹸化率の違いも使用感に大きく関係しています。鹸化率とは原料油脂のうち何パーセントが石けんになるかを指します。石けんにならなかった油脂はそのまま残りスキンケア効果があります。石けん成分は酸化しにくく長く品質を保てますが、油脂は酸化するので使用期限にも関係してきます。鹸化率を表示している製品はあまり見かけないので市販品を選ぶ場合は参考にできないかもしれません。

72%っていつ誰が決めたの?

マルセイユ石けんの歴史は古く、1000年以上前から製造されています。名前の由来はフランスのマルセイユ地方で製造されることからその名が付きました。高級石けんの産地として確固たる地位を確立する一方で、粗悪品でもその名を冠するようになり市場は安定しませんでした。そこで17世紀に当時の国王であるルイ14世が石けんの製造法、原料、製造期間に細かな取り決めをした王令を発布したのが始まりです。

高級品とはいえ国王じきじきに日用品について取り決めをするというのは、なんだか大げさな気がしますね。当時のフランスの時代背景とルイ14世について少しお話しします。もしかしたら、学校の歴史の授業でなんとなく聞いた覚えがあるかもしれません。

16~18世紀のヨーロッパにおける重商主義という背景

16世紀から18世紀にかけて、ヨーロッパの絶対王政国家がとった経済政策です。ルイ14世の頃のフランスは絶対王政の全盛期です。成長しつつある世界経済の中で、特にオランダ・イギリス・フランスで採用された管理経済であり、財政確立のため貿易収支の黒字、輸出の助成・輸入の制限による国内産業の保護などをめざしていました。

国家の冨の源泉を貨幣の量になると考え、貨幣獲得を経済政策の主眼とする。絶対王政のもとで官僚や軍隊の給与、宮廷生活の維持などの財源が必要となった国王が、商業を重視して国家統制を加え、あるいは特権的な商人を保護することによって富を得ようとしたのです。

簡単に言ってしまうとルイ14世が美意識が高かったとか、みんなのお肌をきれいにしたかったというような理由ではなく政治と経済のオトナの事情の中のひとつだったということです。

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