自宅で手作り!コールドプロセス石けんvol.3
安全に良質な石けんを手作りするための基礎ポイントです。
四週間以上の熟成が必要な理由
材料となる苛性ソーダと水と油脂を混ぜ合わせると鹸化が始まります。鹸化が進んでいくと徐々に固形化していきます。12~24時間程度でカスタードクリーム状になります。カスタードクリームのような状態になって、泡だて器で生地を持ち上げると筋状に残ることをトレースと呼びます。
トレースが出たらオプションを混ぜ合わせて型に入れるサインです。
型に入れた後も鹸化は続いています。原料油脂の種類、季節や保温の状況によって型だしできるまでの期間はばらつきがあります。
型から出し必要に応じてカットしますが、この段階でもかなり柔らかい状態です。まだ鹸化は続いています。
鹸化が完了したかどうか目で見て厳密に判断する方法はありません。なので職人さんの長年の経験により最短でも四週間待てば安全というセオリーが確立されました。現代においてはメーカーさんが出来上がり後の品質チェックをしているので職人さんの経験からのセオリーは正しかったと裏付けされています。
一番いい熟成期間とは
最短で安全なのが四週間ですが、一番いい状態になるのはいつか知りたいですよね。長くおけばおくほど乾燥が進みますので鹸化が終わったあともさらに硬く引き締まっていきます。
ですが、前回お話ししたスーパーファットのことを思い出してください。石けんとグリセリンは常温で長期保存が可能ですが油脂は酸化と劣化の懸念があります。
以上の理由から諸説あり、製造から三年程度を使用期限の目安とされています。
安全基準に関してはPHを調べて客観的な基準があるのですが使用感でベストの状態は個人の体験によって諸説あり、中には3年~10年熟成したものがいいという方もいらっしゃいます。
長期間の熟成で人気の石けん
アレッポの石けんをご存知ですか?
名前の響きが「アレルギー用」とか「肌荒れ対策用」みたいな商品名の印象なんですが、そうではありません。フランスのマルセイユ石けんの名前の由来と同様にシリアのアレッポ地方に伝わるレシピで作られた石けんのことです。特定のメーカーや特定の商品の名前ではありません。
原料油脂はオリーブオイルとローレルオイル(月桂樹の種子から採れる油)です。配合の量には明確な決まりがないようでローレルオイルが2%のものから40%のものまでメーカーによって違います。日本ではローレルオイルの取り扱いがなく手作りもできず国産品もありません。
製法に関しては「釜炊き製法」と販売業者のサイトを見ると書いてあるのですが、私の調べた限りでは原料を混ぜ合わせる際に加熱はしているものの塩析を行っていないようなので厳密に言うと釜炊き製法ではないようなのですがシリアという土地は内戦が絶えず私たち日本人が訪れるのも難しく、また現地の方も情報を発信している状況ではないので詳しい話は今は知ることができません。
酸化?熟成?
話が少しそれましたが、この石鹸の断面を見ると中心部分はグリーンですが外側が茶色くなっているのが分かると思います。販売業者によると、三年以上熟成してから売られてるようなのですが「この茶色い部分が肌にいい」という口コミと「茶色い部分は酸化して変色しているので削って緑の部分だけを使っている」という口コミもあり、はっきりとしたことはよく分かりません。
アレッポの石けんから推測すると、長くおいたから良くなるとは限らないものの悪くなることはあまりないようですね。
ちなみに私は手作りした石けんを最長でも二年程度で使い切ってしまいます。
次回は型入れや保温箱についてです。
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